お知らせ

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トレント(BitTorrent)で発信者情報開示に関する意見照会書が届いた場合【再掲】

目次

1 はじめに

2 トレント(BitTorrent)による著作権侵害と法的責任

3 プロバイダからの(発信者情報開示に関する)意見照会書

4 対応方法について

5 まとめ

1 はじめに

 漫画、アニメ、AVをダウンロードして楽しんでいたところ、突然、インターネットプロバイダから(発信者情報開示に関する)の意見照会書が届いた、弁護士から損害賠償請求するという文書が届いたというご相談が、ここ最近増えています。ご相談される方の大半は、単にダウンロードをしただけであって、アップロードをした意識がありません。トレント(BitTorrent)の仕組みをよく分かっていないため、意識せずに違法アップロードしてしまっている方々が多い印象です。トレント(BitTorrent)などのP2P方式のファイル共有ソフトは、ファイルをダウンロードすると同時にアップロードして他者に送信する仕組みになっているのです。

2 トレント(BitTorrent)による著作権侵害と法的責任

 漫画、アニメ、AVなどの著作物をトレント(BitTorrent)でアップロードすることは、公衆送信権(送信可能化権)(著作権法23条1項)の侵害となり、民事責任と刑事責任の両方の法的責任が生じます。

(1)民事責任

 著作権法に基づき、著作者は、漫画、アニメ、AVなどの自身の作品に対して、独占的な権利を有しています。そのため、著作物を著作者の許可なくアップロードする行為は、著作者の権利(公衆送信権(送信可能化権))の侵害になります。そのため、著作権者は、ファイルを違法アップロードされたことにより発生した損害の補償を求めることができます。

 損害賠償額は、【アップロードされたファイルのダウンロード回数】×【本来得られたであろう利益】をもとに推定されます。事案によりますが、損害賠償額が数百万円になることもあります。

(2)刑事責任

  刑事責任の刑罰は、最長で10年の懲役刑、最大で1000万円の罰金が科される可能性があります(著作権法119条1項)。

 著作権者側との示談によって、この刑事責任を回避することができる場合もありますが、既に警察による捜査が進行している場合には、捜査機関は、ファイルを違法アップロードした者の特定や証拠の収集のために自宅を捜索してパソコンなどの押収を行うことがあります。これにより、逮捕されたり起訴されたりするリスク、さらには社会的信用が低下し、雇用に影響するなど、日常生活に回復し難い深刻な影響が生じる可能性があります。

(3)早期対応の必要性

 トレント(BitTorrent)を通じた著作物のアップロードは、このように大きな法的責任を伴います。違法なアップロードによる民事責任と刑事責任の両方の責任を可能な限り回避するためには、プロバイダや弁護士から届いた文書に対して、可能な限り早期かつ適切に対応する必要があります。

3 プロバイダからの(発信者情報開示に関する)意見照会書

 トレント(BitTorrent)を使用して漫画、アニメ、AVなどをダウンロードした後、インターネットプロバイダから(発信者情報開示に関する)の意見照会書が届くことがあります。

 著作権者は、トレント(BitTorrent)の利用者に対して法的措置を取ることがありますが、トレントの利用者の身元はすぐには特定できません。そのため、著作権者はトレント監視システム(P2PFINDERなど)を利用して、不正なアップロードをしているIPアドレスを特定し、インターネットプロバイダに対して発信者情報開示を求めます。インターネットプロバイダは、発信者情報を開示してもよいか、利用者に確認する必要があるため、利用者に対して(発信者情報開示に関する)意見照会書を送っているのです。利用者が情報開示に同意した場合、インターネットプロバイダは著作権者に対して発信者情報を開示します。著作権者はこの開示された情報に基づいて法的責任の追及を行うことになります。

 インターネットプロバイダから意見照会書が届いた場合、回答期限は1週間から2週間と短く設定されていることが多いです。この照会に対しては、「同意・承諾」「拒否」「無視・放置」という選択肢があります。回答期限は短いですが、回答は慎重かつ適切に行う必要があります。

 回答するにあたっては、まず、違法アップロードに関して心当たりがあるかどうか確認することが重要です。自らに心当たりがなかったとしても同居人などがトレント(BitTorrent)を利用している場合も考えられるため確認する必要があります。

 もし心当たりがある場合には、「同意・承諾」の回答をして、刑事責任を回避するために、示談金を準備して、早期に示談交渉を行うことが考えられます

 示談しない場合には、刑事手続に移行して(逮捕、起訴)、刑事責任を負う可能性があります。「拒否」や「無視・放置」した場合であっても、著作権者がインターネットプロバイダに対して民事訴訟を起こして、裁判所から発信者情報開示命令を得て、強制的に発信者情報を開示させる可能性があります

 ご自身の状況や法的なリスクを正確に理解して、適切な回答を行うことが重要です。

    4 対応方法について

     インターネットプロバイダから(発信者情報開示に関する)意見照会書が届いたり、弁護士から損害賠償請求する旨の文書が届いた場合に、どのように対応したら良いのか分からず、また周りにも相談しにくい内容であるため、混乱してしまう方々がほとんどだと思われます。

     インターネットの掲示板などで「このような請求は無視すれば良い」という投稿を見たので、そのまま放置したという方が稀にいらっしゃいます。しかしながら、無視をしても著作権者がインターネットプロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を起こせば、裁判所が認めて情報が開示される可能性が高いですし、訴訟に要した弁護士費用全額の賠償を求められるケースもあります。また、刑事告訴されれば、有罪となり前科が付くおそれもあります

     トレント(BitTorrent)を利用したことに全く心当たりがないという場合には、著作権侵害の事実を徹底的に争うことも考えられますが、心当たりがある場合には、早期に示談金を準備して示談を目指すことが合理的な解決であると考えます。

    5 まとめ

     突然、インターネットプロバイダから(発信者情報開示に関する)の意見照会書が届いたり、弁護士から損害賠償請求するという文書が届いた場合には、民事責任や刑事責任をできる限り回避するために早期に対応することをお勧めいたします

     心当たりがある場合には、示談を見越した回答をすべきですし、全く心当たりがない場合には、発信者情報開示や損害賠償請求を断念させるため、法的根拠に基づいた回答をすべきです。

     このような回答を早期に適切に行うために、紛争解決の専門家である弁護士に相談し、対応を依頼することをお勧めいたします(弁護士に依頼すれば、家族に知られることなく解決することも可能になります。)

     なお、漫画、アニメ、AVなどの著作物をトレント(BitTorrent)でアップロードしたことに関するご相談であれば、(アップロードを認めている場合)当事務所は初回相談につき無料で対応いたします(当事務所にご依頼いただく場合には、(アップロードを認めている場合)着手金22万円、実費1万円、解決報酬金22万円でお受けいたします。)。

     

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