お知らせ

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配偶者の不倫が発覚し、慰謝料請求をしたいときは

目次

1 はじめに

2 不倫・不貞慰謝料とは

3 相手方の弁解

4 弁解された場合に備えて

1 はじめに

 12月・1月・2月は、「クリスマス」「忘年会」「大晦日」「初詣」「新年会」「バレンタインデー」など、様々なイベントが続く期間です。

 このようにイベントが続く期間であるためか、毎年12月・1月・2月になると、不倫(不貞)の慰謝料請求に関するご相談が増える傾向にあるように感じます。

 今回は、配偶者の不倫(不貞)が発覚し、慰謝料請求を行う際に留意すべき点について、ご説明いたします。

2 不倫・不貞慰謝料とは

 不倫・不貞行為は、「平穏な婚姻関係の維持」という権利・利益を侵害する民法上の不法行為に該当するため、慰謝料請求を行うことができます。

 配偶者の一方が不倫・不貞行為を行うことで、他方配偶者はパートナーから裏切られ、強い精神的な苦痛を受けると同時に、これまでの平穏な婚姻関係を破壊されることになります。

 その結果、不倫・不貞行為を行った者に対して、民法上の不法行為に基づく慰謝料請求を行うことができるのです。

 もっとも、不倫・不貞行為があった時点で、夫婦関係がすでに冷め切っており、婚姻関係が破綻しているような状態である場合には、侵害対象である「平穏な婚姻関係の維持」という権利・利益が存在しないため、民法上の不法行為に基づく慰謝料請求を行うことができません。

 また、不倫・不貞行為を行った二人(配偶者の一方と不倫相手)は、共同で不法行為の責任を負うため、慰謝料請求はこの二人に対して行うことができます(例えば、慰謝料が200万円と認められた場合、二人から合計で200万円を支払ってもらう請求権があるため、二人それぞれから100万円ずつ支払ってもらうこともできますし、不倫相手のみから200万円を支払ってもらうこともできます)。

 なお、慰謝料請求における不倫・不貞行為と、肉体関係は必ずしも同義ではなく、性交まで至っていないとしても、慰謝料請求は認められる余地があります。

3 相手方の弁解

 慰謝料請求が認められた場合、高額の金銭(例えば200万円前後)を支払うことになるため、相手方(配偶者の一方、不倫相手)が必死に弁解をしてくることはよくあることです。

 よくある弁解は次の①②③のとおりです。

 ①肉体関係に及んでいないとの弁解

  よくある弁解の一つとして、肉体関係に及んでいないというものがあります。

  しかし、慰謝料請求が認められる余地がある「不貞」には、次の3つ(ⅰ~ⅲ)があり、肉体関係に及んでいないからといって、慰謝料請求が認められないとは限りません。

  ⅰ 性交又は性交類似行為

  ⅱ 同棲

  ⅲ ⅰとⅱの他、一方配偶者の立場に置かれた通常人の立場を基準として、一方配偶者・他方配偶者の婚姻を破綻に至らせる蓋然性(確からしさ)のある異性との交流・接触

  肉体関係に及んでいないと弁解された場合には、ⅱやⅲに該当するか検討することになります。

 ②婚姻関係が破綻した後に不倫(不貞行為)をしたとの弁解

  前述のとおり、婚姻関係が破綻している場合には、「平穏な婚姻関係の維持」という権利・利益が存在しないため、慰謝料請求を行うことができません。

  もっとも、婚姻関係が破綻していたかどうかは、一方配偶者が離婚を切り出していたかどうかだけで決まるものではなく、別居していたかどうかなどの諸般の事情を総合的に考慮した上、客観的に判断される事項です。

  このような弁解をしたとしても簡単に認められるわけではありません。  

 ③婚姻関係がすでに破綻していたと信じていたとの弁解

  婚姻関係がすでに破綻していたと信じていたとして、自分には過失がないため(無過失)、不法行為に基づく慰謝料請求は認められないと弁解される場合もあります。

  もっとも、不倫(不貞)に及んだ者としては、相手が既婚者である以上、安易に不倫(不貞)関係にならないように注意すべきであり、無過失が認められるためには、婚姻関係が破綻しているとの既婚者の言葉を信用しただけでは足りず、既婚者の言葉を裏付ける根拠があることが必要になります。

  このような弁解も、②と同様、簡単に認められるわけではありません。

4 弁解された場合に備えて

 以前の記事(2023.02.25 離婚を考えたときに押さえるべきポイントは?)にも記載しましたが、弁解された場合に備えて、証拠を準備しておくと良いでしょう。

 写真(配偶者の一方の携帯電話等に保存された不倫相手の裸の写真、ラブホテルから二人が出てきた際の写真等)、録音・録画媒体(配偶者の一方が不倫を認めた発言を録音・録画したもの等)、探偵社等の調査報告書(ただし、数十万円~数百万円単位の費用がかかり、空振りに終わることもあります。)、クレジットカードの利用明細書・レシート(ホテル、旅館等の宿泊施設に1室2名分の料金を支払っていることが読み取れるもの等)、メールやLINE(肉体関係の存在を明示ないし示唆する内容のもの等)などが、証拠として考えられるものです。

 また、これらの証拠がない場合であっても、不倫(不貞)を行った配偶者や相手方から、性交渉を持った事実を認める旨を記載した念書等の書面を作成してもらうことも考えられます。

 不倫が発覚した当初は、不倫関係にあったことを認めていた配偶者や不倫相手が、一定期間経過した後に(おそらくこの間に第三者に相談しているでしょう。)、突如として不倫関係を否定することは少なくありませんので、このような書面を作っておき、(破棄される場合を想定して)この書面を写真で撮影しておくと良いでしょう。

 この他にも、慰謝料請求は、請求相手を誰にするべきか(配偶者、不倫相手)、不倫相手が未婚か既婚かによってどう対応すべきかなど、検討すべき事項が複雑になることが少なくありません。

 配偶者の不倫が発覚して慰謝料請求を考えている場合には、一人で悩まずに、法律の専門家である弁護士に相談してみることをお勧めいたします。

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