お知らせ

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インターネット上(SNSや匿名掲示板など)で誹謗中傷を行ってしまった場合

目次

1 はじめに

2 刑事上の責任

3 民事上の責任

4 投稿者の特定方法

1 はじめに

 最近、インターネット上でのトラブルに関するご相談が増えている印象です。

 今回は、インターネット上(SNS、匿名掲示板、YouTubeのコメントなど)で誹謗中傷を行ってしまった場合に、①どのような罪に問われる可能性があるのか(刑事上の責任)、②損害賠償請求をされることはあるのか(民事上の責任)、③投稿内容を削除すれば責任を回避できるのか(投稿者の特定方法)について、ご説明していきます。

2 刑事上の責任

 インターネット上で誹謗中傷を行ってしまった場合、名誉棄損罪(刑法230条1項。3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金)が成立する可能性があります。インターネット上で不特定又は多数人が見ることとなる場合は「公然」性が認められますし、インターネット上で人の評価を低下させるような事実を指摘すれば「事実を摘示」したと評価されますし、指摘した内容が抽象的であっても他人の社会的評価を低下させるのであれば「人の名誉を毀損」したといえるためです(もっとも、投稿した行為が、公共の利害に関する事実に係り、専ら公益を図る目的があった場合で、真実であることの証明があった場合には罰しないこととされています(刑法230条の2第1項)。)。

 次に、「馬鹿」「ブス」などと言った暴言や悪口を使用した抽象的な誹謗中傷は、「事実を摘示」したとは言えず名誉毀損罪は成立しませんが、侮辱罪(刑法231条。1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料)が成立する可能性があります。

 また、相手を脅すような言葉を投稿して誹謗中傷すると脅迫罪(刑法222条1項。2年以下の懲役又は30万円以下の罰金)が成立する可能性があります。脅迫罪は被害者が刑事告訴をしなくても処罰される可能性があり(非親告罪)、被害者が実際に「怖い」と思わなくても、投稿内容が客観的に人を畏怖させるようなものであれば成立してしまいます(抽象的危険犯)。

 さらに、投稿内容が経済的信用を低下させ得る可能性があったり、通常の業務を行えなくするようなものであった場合には、信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条。3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が成立する可能性があります。

3 民事上の責任

 インターネット上で特定の個人を誹謗中傷する内容の投稿をした場合には、上記のような刑事上の責任だけではなく、民事上も不法行為(民法709条)に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。

 損害賠償額については、ケースバイケースではありますが、悪質な誹謗中傷と判断された場合には、高額になる可能性もあります。

4 投稿者の特定方法

 上記の刑事上の責任や民事上の責任から逃れるために、投稿内容を削除すれば良いとお考えになる方が少なからずいらっしゃいます。

 しかしながら、被害者は、①コンテンツ・サービス・プロバイダ(電子掲示板の管理者など)に情報開示請求をする、②発信者情報開示の仮処分をする、③経由プロバイダ(インターネット・サービス・プロバイダ)を特定する、④経由プロバイダに対して発信者情報消去禁止の仮処分をする、⑤発信者情報開示の訴訟提起をするという方法により、投稿者を特定することが可能になるため、投稿者の身元(氏名、住所)を特定されてしまい、上記の刑事上の責任や民事上の責任を追及される可能性があります(もっとも、経由プロバイダの多くは、一定期間(3か月~1年程度)でアクセス記録を削除します。)。

 インターネット上で誹謗中傷を行ってしまい、刑事上の責任や民事上の責任を追及されそうな場合には、問題の早期解決(相手方との示談を含む。)のためにも、お早めに、紛争解決の専門家である弁護士にご相談されることをお勧めいたします

 なお、違法ダウンロード問題(映画、漫画、AVなどの違法ダウンロード・アップロード)でお困りの方は、以前記載した記事(トレント(BitTorrent)で発信者情報開示に関する意見照会書が届いた場合)をお読みください

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