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【宮城県仙台市太白区長町】遺産分割における不動産の評価問題(前編)~簡易な評価方法と利用権負担付不動産~|ながまち駅前法律事務所

目次

1 はじめに~遺産分割における不動産評価の基本原則~

2 不動産の簡易な評価方法

3 不動産利用権負担付不動産の評価

4 おわりに

 最近、当事務所に相続のご相談にお越しになる方のなかでも、遺産分割において「不動産の評価」が問題になり、親族間で激しく対立してしまうケースが増えている印象があります。

 現金や預貯金とは異なり、不動産は「1円単位で明確な価値が出ない」という特質を持っています。そのため、不動産を自分が取得して他の相続人に代償金を払う側の相続人は「できるだけ低く評価して支払いを抑えたい」と考える一方、不動産を取得せず代償金をもらう側の相続人は「できるだけ高く評価して多くのお金をもらいたい」と主張します。このように利害が真っ向から対立するため、協議が暗礁に乗り上げる傾向にあるのです。

 そこで、今回と次回の2回に分けて、遺産分割における不動産の評価に関して問題になりやすいケースとその解決策を詳しく説明いたします。今回の本記事では、「不動産の簡易な評価方法」および「不動産利用権負担付不動産の評価」について解説します。

1 はじめに~遺産分割における不動産評価の基本原則~

 遺産分割において不動産を評価する際、「いつの時点の価値を基準にするか」という点がしばしば争いになります。 結論から申し上げますと、遺産分割においては、「遺産分割時の時価」で評価するのが原則です。お亡くなりになった「相続時」での評価ではありません。相続時を基準としてしまうと、相続発生後から遺産分割時までの間の地価の変動(価格の上昇や下落)が反映されず、相続人間で不公平になるためです。

 また、すべての遺産分割において必ず厳密な不動産評価が必要になるわけではありません。 例えば、対象となる不動産を第三者に売却してその代金(現金)を相続人で分ける「換価分割」や、法定相続分などの一定の割合に従って相続人全員の共有名義にする「共有分割」に全員が合意している場合は、あえて評価額を確定させる必要はありません。一方で、特定の相続人が不動産を取得し、他の相続人に対して金銭を支払って清算する「代償分割」を行う場合などは、具体的な評価額の合意が不可欠となります。

2 不動産の簡易な評価方法

 不動産の価格は、できるだけ当事者間の合意で決めるのが望ましいとされています。どうしても価格合意ができない場合のみ、裁判所を通じた不動産鑑定を実施すべきです。不動産鑑定士による正式な鑑定手続を入れると、数十万円程度(あるいはそれ以上)の鑑定費用が発生することが多く、費用負担や期間の面でデメリットが大きいためです。 そこで、実務上、価格合意を目指すためによく用いられる「簡易な評価方法」を2つご紹介します。

(1)路線価・固定資産税評価額に特定の倍率を掛ける方式

 路線価や固定資産税評価額をもとに、一定の倍率を掛けて時価を逆算する方法です。 一般的に、路線価は時価の8掛け(80%)、固定資産税評価額は時価の7掛け(70%)とされていることから、これを逆算して土地の価格を決めます。具体的には、土地については「路線価×1.25(÷0.8)」または「固定資産税評価額÷0.7」で計算し、建物については「固定資産税評価額」をそのまま評価額とするのが簡明で客観的です。

  • 長所:用いる資料が公的なものであり客観的であるため、計算方式に恣意が入りません。極めて簡潔に計算できる点もメリットです。
  • 短所:マンションの評価には適用できないという大きな制約があります。また、住宅地ではおおむね妥当な金額になりますが、都心部では現実の時価よりかなり安くなる傾向があり、逆にへき地では現実の時価よりかなり高くなる傾向があります。不動産の価格上昇が著しいときや下落しているときは、路線価等のデータが古すぎて実態に合わないこともあります。

(2)無料査定書方式

 各相続人が、それぞれ2、3社の不動産仲介業者の無料査定書を持参し、その中間値をとる方法です。 中間値の算出方法としては、全査定書の平均値をとる方法、最高の査定書と最低の査定書を外して中間の査定書の平均値をとる方法、一番集中した価格帯の査定書の平均値をとる方法などがあります。

  • 長所:マンションの評価において鑑定を避けたい場合は、実質的にこの方式によるしかありません。不動産の専門家の意見でありながら、費用がかからない点が最大のメリットです。
  • 短所:査定書の作成者の責任が問われないため、価格に恣意が入り込む余地が大きいという問題があります。顧客(相続人)がバイアスをかけなければ客観的な評価が出るはずですが、現実にはバイアスをかける当事者がいるため、かなり開きが生ずる場合があります。 なお、ご自身で費用をかけて個人的に頼んだ不動産鑑定士の鑑定書(私的鑑定)を提出される方もいますが、調停や審判の実務においては、私的鑑定は業者の無料査定書と同じ扱い(同じ価値)にしかなりません。無駄な鑑定料を負担することになりがちですので、注意が必要です。

3 不動産利用権負担付不動産の評価

 不動産は、ただの「更地」や「自ら住んでいる土地建物」とは限りません。他人に貸しているなど、何らかの利用権が設定されている(負担が付いている)場合は、評価がより複雑になります。

(1)底地(借地権負担付きの土地)の評価

 亡くなった方が他人に土地を貸しており、その土地上に借地人が家を建てて住んでいるような場合、対象となる宅地の所有権は「底地(そこち)」と呼ばれます。 底地は、賃貸人に帰属する経済的利益を基礎として形成されているため、本来は収益価格が重視されます。しかし、遺産分割調停の過程において、厳密に収益価格や比準価格を求めることは困難です。そのため、実務上はより簡便な方法として、「更地価格から借地権割合を控除して評価」することが一般的です。

(2)相続税申告書の申告額を参考にする場合の注意点

 このような賃貸物件や、事業用・居住用の不動産において、遺産分割の話し合いの中で「すでに提出した相続税申告書の評価額」をそのまま時価だと主張される方がいますが、ここには大きな落とし穴があります。 相続税を算出するにあたっては、特例措置が設けられ、相続税の軽減が図られていることがあります。例えば、小規模住宅(上限面積240㎡)や事業用宅地(上限面積400㎡)の特例措置では、居住や事業の継続を前提として、大幅な評価減(マイナス80%など)が認められています。 そのため、相続税申告額が、遺産分割における「時価」とはかけ離れた極めて低い価額となっていることがあります。このような場合は、特例による相続税の軽減前の価格に補正して検討することが相当です。

4 おわりに

 相続は、突然に始まります。 「何から手をつければ良いのか分からない」「親族と直接話すのがつらい」「提示された不動産の評価額が妥当かどうかわからない」——そんなときこそ、 宮城県仙台市太白区長町のながまち駅前法律事務所へご相談ください。 元裁判所職員・司法書士として培った実務経験と、弁護士としての法的戦略を組み合わせ、 伴走者として解決まで並走します。

 今回解説したように、不動産の評価は、選択する評価方法によって数百万円、時に数千万円もの差が生じる非常に重要なポイントです。

【ながまち駅前法律事務所が選ばれる3つの理由】

1. 元裁判所職員(裁判所書記官)の実務知見に基づく「先を読む」戦略

 家庭裁判所等での勤務経験により、調停・審判の実務運用を肌感覚で理解しています。複数の査定書が出た場合や、不動産鑑定に進むべきかどうかの判断において、「裁判所がどう捉えるか」を見越した的確な助言を行い、無駄な争いを避けつつ有利な着地点へ導きます。

2. 司法書士実務に精通——紛争解決からその後の手続までワンストップ

 不動産の相続において避けて通れない「相続登記(名義変更)」の手続面にも精通しております。紛争解決(協議・調停等)だけで終わらず、その後の名義変更まで見据えた一貫した対応が可能です。

3. 依頼者様の「真のニーズ」に寄り添う伴走者

 徹底的に争って適正な評価額を追求したいのか、あるいは多少譲歩してでも早期の円満解決を望むのか。依頼者様との対話を重ね、ご自身が「納得できた」と思える解決を共に目指します。

よくあるご質問(FAQ

Q. 相手方が知人の不動産業者に依頼して、不当に安い無料査定書を出してきました。どう反論すればよいですか?

A. 不動産業者の無料査定は恣意が入りやすいため、当事務所のサポートのもと、複数の別の仲介業者から客観的な査定書を取得し、適正な中間値や平均値を主張していくことが有効です。

 遺産分割、遺留分侵害額請求、相続放棄、遺言などのご相談は、ながまち駅前法律事務所へ。 宮城県仙台市太白区、青葉区、泉区、若林区、宮城野区、名取市、岩沼市等の周辺市町村からのご相談に幅広く対応しております。迷った瞬間が、最善の初動です。どうぞお気軽にお問い合わせください。(次回の後編へ続きます)

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