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【弁護士解説】相続トラブルを防ぐ「遺産の範囲」の重要性と具体例~仙台市太白区長町周辺でお悩みの方へ~

目次

1 はじめに

2 遺産分割の前提となる「遺産の範囲」の基本ルール

3 多様な資産をお持ちの方が特に注意すべき「遺産の範囲」の具体例

4 おわりに

1 はじめに

 当事務所には日々、多くの相続に関するご相談が寄せられます。中でも、ご自宅のほかに賃貸用不動産や有価証券、複数の預貯金口座など、多岐にわたる資産を保有されている方からのご相談においては、「遺産分割」や「遺言書の作成」「遺留分」といった問題が複雑化しやすい傾向にあります。

 相続問題や遺産分割協議と聞くと、多くの方は「誰が、どのくらいの割合で財産をもらうのか」という「分割の割合」に目を向けがちです。しかし、実際の相続実務において、弁護士が最も神経を使い、かつ親族間で激しい争いの火種となりやすいのが、「そもそも何が遺産分割の対象となるのか」という『遺産の範囲』を確定させるプロセスです。

 「亡くなった親の財産はすべて遺産になるのではないか?」と思われるかもしれませんが、法律上(民法上)の遺産と、皆様が一般的にイメージする遺産、あるいは税理士が算出する遺産には大きなズレがあります。このズレを理解せずに話し合いを進めると、後になって「前提が間違っていた」と協議が根底から覆るリスクがあります。

 本記事では、将来の相続に備えて遺言書の作成をご検討中の方や、現在まさに遺産分割トラブルでお悩みの方に向けて、相続問題の核となる「遺産の範囲」について分かりやすく解説いたします

2 遺産分割の前提となる「遺産の範囲」の基本ルール

 遺産分割の対象となる財産(遺産の範囲)を確定させるためには、法的なルールが存在します。ここでは、基本となる5つの要件と、皆様が誤解しやすいポイントについて解説します。

(1)遺産分割の対象となるための「5要件」

 ある財産が遺産分割の対象となるためには、原則として以下の5つの要件をすべて満たしている必要があります。

相続により取得した遺産であること

相続開始時(被相続人の死亡時)に存在すること

遺産分割時(現在)にも存在すること

未分割であること

積極財産(プラスの財産)であること

 たとえば、親が亡くなる直前に、同居していた相続人の一人が親に無断で預金を引き出していた場合、預金そのものを解約していれば、相続時には預金が存在しないため、原則として、遺産分割の対象にはなりません。引き出された現金部分は厳密には「遺産分割の対象」から外れてしまい、別途、不当利得返還請求等の民事訴訟で解決しなければならないケースが生じます。 また、相続後に発生した家賃収入や、遺産管理費用、葬儀費用なども、相続時には存在していなかったため、原則として、遺産ではありません

(2)「民法上の遺産」と「税法上の遺産」の決定的な違い

 ご相談をお受けする中で耳にすることがあるのが、「税理士が相続税申告書に記載した遺産目録をそのまま流用して、遺産分割調停が申し立てられている」ケースです。 「相続を契機として取得」する財産は税法上の遺産(相続税の対象)となりますが、そのうち、民法上の遺産となるものは、「相続により取得」した財産に限られます。税理士の作った目録をそのまま流用しても、それが遺産分割の対象になるかならないかの問題意識は不可欠であり、どこまでを分割対象とするかは、今後の遺産分割の行方を決める重要なポイントになります

3 多様な資産をお持ちの方が特に注意すべき「遺産の範囲」の具体例

 長町周辺をはじめとする仙台市内で、事業を営まれている方や地主様、複数の金融資産を運用されている皆様の相続において、特に問題となりやすい財産別の取り扱いを見ていきましょう。

(1)預貯金と現金の取り扱い

 かつては普通預金などが遺産分割の対象になるか否かで争いがありましたが、現在では最高裁の判断により、普通預金などの金融資産はすべて遺産分割の対象になると考えられています。 一方で、「手元にある現金」については注意が必要です。仮に相続税申告書に「現金300万円」という記載があっても、それがそのまま民法上の遺産になるわけではありません。遺産分割の対象になる現金は、相続時と分割時に存在することが要求されます。他の相続人が使ってしまった場合は、新相続法の「みなし遺産」の制度(民法906条の2)を活用するか、別途民事訴訟等の対応が必要になります。

(2)投資信託や株式などの有価証券

 証券会社を通じて投資信託や株式を保有されている場合、問題になるのが被相続人の死亡後に発生した「投資信託の元本償還金又は収益分配金の扱いです。 これらについて最高裁は、相続人の1人から単独で支払請求をすることはできないと判断しています。したがって、これらは投資信託の一部として、遺産分割の対象になります。金融商品の性質によって遺産分割の扱いが変わるため、最新の判例知識を持つ弁護士のサポートが欠かせません。

(3)不動産の「遺産分割前の売却代金」

 相続税の納税資金を確保するため、遺産分割協議の前に相続人全員で合意して不動産を売却してしまうケースがあります。 しかし、不動産を遺産分割前に売却すると、その売却代金は全相続人の同意がない限り、遺産分割の対象になりません。漫然と売却すると後日、遺産分割の手続き内で分けることができなくなるため注意が必要です。売却代金を後日の遺産分割の対象にする予定なら、必ず書面で「この売却代金は後日の遺産分割の対象に含める」と合意しておく必要があります。

(4)死亡退職金や生命保険金の扱い

 会社の経営者や役員をされていた方の死亡退職金は、社内規程に受取人の定めがあれば規程により取得するため遺産ではありません。生命保険金も原則として受取人固有の財産となり、民法上の遺産の範囲には含まれません。 ただし、その金額が遺産全体の額と比較してあまりにも巨額であり、相続人間に到底見過ごすことのできない著しい不公平が生じるような特段の事情がある場合には、例外的に遺留分や遺産分割の算定基礎に持ち戻される余地があります。

(5)アパートローンなどの「負債(借金)」の扱い

 賃貸用不動産とともに、アパートローンのような負債を引き継ぐケースも少なくありません。 債務は、相続と同時に法定相続分に従い、当然に分割されます。遺産分割協議において「全遺産(アパート)と全負債(ローン)を長男が全て相続する」と決めたとしても、債権者(銀行など)の承認がない限り、債権者には主張できません。 手続きの際も正確な表現の調停条項や遺産分割協議書を作成する必要があります。

4 おわりに

 ここまで見てきたように、「何が遺産分割の対象になるのか(遺産の範囲)」という問題は、決して単純なものではありません。民法と税法の違い、最新の最高裁判例、そして不動産売却や負債処理における実務的な手続きなど、極めて専門的な知識が絡み合っています。 遺産の全体像を正確に把握しないまま話し合いを進めたり、不完全な遺言書を作成してしまったりすると、後日、ご親族間で修復不可能な紛争に発展するリスクが高まります。

 大切な資産を次世代へ円滑に引き継ぐためには、法的に間違いのない前提のもとで相続対策や遺産分割を進めることが、ご家族の未来を守るための最善の策となります。

 ながまち駅前法律事務所では、将来の紛争を予防する遺言書の作成から、相続発生後の遺産分割交渉、遺留分の請求、さらには複雑な使途不明金の問題まで、豊富な実績と専門的ノウハウを有しております。

 「この財産は遺産に含まれるのか?」「不動産等の資産を含んだトラブルのない遺言書を作りたい」など、相続に関する疑問やお悩みがございましたら、どうぞお早めに当事務所へご相談ください。長町駅からのアクセスも良好な当事務所の弁護士が、皆様のご事情に丁寧に寄り添い、円満で納得のいく解決へ向けて全力でサポートさせていただきます。

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